リスケジュールreschedule
リスケジュール(リスケ)は、例えば銀行から融資を受ける場合など借入契約を結ぶ際に約束した支払条件(例えば、月額支払額や支払期限など)を、銀行との話し合いによりそれまでの条件より緩く変更することです。
例えば、月額支払額を減額する、支払期限を延長するなどです。
リスケのメリット
- 01資金繰りに余裕を持つことができる
- 02信用不安・風評被害を心配しなくてよい
毎月の月額支払額を減らしたり、支払期限を先延ばしにするのですから、当然ですがそれまでより資金繰りは楽になります。
特に銀行など金融機関に対する支払月額は通常相当高額になっていますから、金融機関との間でリスケができれば資金繰りに相当の余裕を持つことができるようになります。
また、銀行などの金融機関の場合、口が堅くリスケの要請があったことを他言することは通常ありませんので、信用不安・風評被害を心配する必要もありません(これに対し、下請業者などにリスケの要請をする場合には注意が必要です。他言された場合には、信用不安が生じ、取り付け騒ぎに発展する危険性があります)。
リスケの現状
銀行その他の金融機関は、以前はなかなか支払の繰り延べに応じなかったため、法的処理は取らなくても支払いの繰り延べが認められれば当面の資金繰りが落ち着き、腰を据えて経営再建に取り組むことができる事案では、どのようにして金融機関にリスケに応じさせるか、が腕の見せ所の一つでした。
しかし、亀井元金融大臣の肝いりで成立し平成21年12月施行された金融円滑化法により状況は一変しました。
統計資料によれば、法人の場合申し込んだうち金融機関が繰り延べに応じた割合は約75%と報告されいますが、私の実感では、明らかな粉飾など余程の事情が無い限り金融機関はほぼ全て繰り延べに応じているのではないかという印象です(今までのところ、私が実際に金融機関から繰り延べを断られた会社を見たことはありません)。
したがって、多くの会社では資金繰りの中で銀行返済が相当な部分を占めていますから、支払いの繰り延べは当座の資金繰りを付ける上で極めて有効な方法となりました。下請業者に繰り延べを要請した場合同業者には信用不安が広がるおそれがありますから、口の堅い金融機関に支払いの繰り延べを要請することは、むしろ安全な方法とさえいえます。
注意点
ただし、注意しなければならないことは、リスケは業績不振の根本原因である過剰債務、あるいは売上不振などを解決するものではなく、単に時間を稼ぐ方法に過ぎないことです。
もちろん、現時点で資金繰りがつかずどうしようもない状況ではリスケも必要かつ有効な方法です。
しかし、元金の一部あるいは利息しか支払わないというのでは、100年経っても負債はなくならないといった事態になりかねず、場合によっては一生支払いに追われることにもなります。
リスケは、緊急避難的に時間を確保するための手段にすぎません。
リスケにより、時間を確保できている間に、経営不振の根本原因である過剰負債の整理、あるいは売上不振を解決する必要があります。
売上の増加(増収)を実現できれば問題は全て解決するのですが、また、これが一番穏便な方法なのですが、デフレが深刻化している現在の経済情勢の下では、現実問題として大幅な増収を実現することは至難の業ではないでしょうか?
だとすれば、今一息つけている間に、過剰負債の整理を検討することが必要になると思われます。
タイミングを逸しないことが重要となります(タイミングは非常に大切で、これを逸すると清算・破算を余儀なくされてしまいます)。