民事再生についてcivilrehabilitation

民事再生は、債務者が資金に行き詰まったり債務超過の恐れがあるなど困難な状況にある場合に、裁判所の関与の下で、債務者(経営者)の自主性を尊重(つまり、経営権はそのままに)しながら事業の再生を図る手続きです。

民事再生のメリット① 債務の免除

民事再生の最大の長所は、(再生)債務の支払を原則として全て一時棚上げし、資金と時間の余裕を確保した上で再生計画の作成に取りかかり、債務の免除(カット)を中心とする再生計画案を債権者の多数決で実行できる(反対債権者が存在しても可能)点にあります。

資金が苦しい会社を再生するには、何よりも債務の支払を止め、善後策を検討する時間を確保する必要があります。
この点で、民事再生は、弁済禁止の保全処分が用意されていますし、正式に民事再生を始める決定(開始決定)が発令された場合には、法律上会社は原則として債務の弁済が禁止されます。

弁済禁止の保全処分は、裁判所から正式に開始決定が発令される前に、債務会社に対し一時的に債務の弁済を禁止する決定で、債務会社がこの保全処分を受けると以後弁済してはいけない状態になります。
そして、その後開始決定が発令されますと、法律上債務の弁済(支払)が禁止される結果、債務会社は債務の支払から合法的に解放され、再生計画を作成する資金と時間の余裕を得ることができるのです。

民事再生の流れは後で詳しくご説明しますが、債務会社は再生計画の作成に取りかかり、債務免除を中心とする再生計画を作成して債権者集会に諮り、賛成多数となれば反対債権者の債権も含め全員の債権カットが認められます。

私的整理の場合と比較するとよく分かるのですが、法律の原則では債務の免除をうけるには全債権者の同意が必要となります。どのように合理的な提案であっても、債権者が気に入らなければ債権のカットは本来できないのです。
そのため、私的整理では債権者全員の同意を得ることができなければ、実際上債務会社の再生を実現できないのが現実です。

しかし、民事再生では、債権者集会で多数決で過半数の賛成を得ることができれば、たとえ大口の、あるいは有力な反対債権者がいても、再生計画案(債務カット案)が成立し、全員の債権カットができるのです。

当事務所の取扱実績をご覧いただければと思いますが、実際に元本を含めた債権額の90%以上のカットが認められた例もあります。
しかも、残10%の配当(弁済)は利息を免除された上で、5年間から10年間の分割弁済となります。

反対債権者も相当な数いましたが、債権者集会で過半数の賛成をいただき、これを受けて裁判所より認可決定の発令を受け、無事再生計画が成立しました。

これが民事再生の最大の魅力です。
このように、支払いを一時停止したうえで、大幅な債務カットが認められ、しかも10年間までの分割弁済が認められるのですから、民事再生が成功すれば会社の資金繰りは劇的に回復します。

民事再生のメリット② 経営権を維持できる

現経営陣が経営権を手放すことなく、つまり経営者の立場にとどまったまま会社の再建を図ることが出来るという利点もあります。

同じく、再建型の法的整理手続である会社更生は、原則として会社の経営権、管理権は裁判所が選任する更生管財人に移り現経営陣は退陣しなければなりませんが、民事再生では原則として現経営陣の退陣は求められません。

民事再生をする上での注意点

民事再生は、このように大きな魅力を持っているのですが、それ故に、法律上複雑な構成となっていますし、また、担保権(別除権)の取扱いや当面の資金繰りに対する配慮など、高度で専門的な判断が随所に求められます。

民事再生に失敗した場合には破産手続になってしまい後戻りができない状態になりますから、民事再生を利用するのか、再生計画案の内容は妥当かなど慎重の上にも慎重を期して手続を進める必要があります。

民事再生のデメリット

私達としては納得していないのですが、ただ日本の社会の現状では、民事再生も倒産という受け取り方が一般ですので、倒産との風評被害により会社の信用が傷つく可能性があります。

また、裁判手続ですから、①裁判所に対する費用(裁判予納金)と②申立を行いその後手続の進行に当たる弁護士の費用が必要となります。

裁判所予納金

裁判所予納金は、負債金額に応じて決まることになっていますが、裁判所によっても若干相違があります。東京地方裁判所での取扱いは次のようになります。

負債総額 予納金額
5000万円未満 200万円
5000万円~1億円未満 300万円
1億円~5億円未満 400万円
5億円~10億円未満 500万円
10億円~50億円未満 600万円
50億円~100億円未満 700万円
100億円~250億円未満 900万円
250億円~500億円未満 1000万円
500億円~1000億円未満 1200万円
1000億円以上 1300万円

弁護士費用

弁護士費用も負債金額が一つの基準となりますが、その他事案の特殊性(担保権の取扱い、債権者の数など)によっても相当に異なり個別性が強いので、ご相談の際お問い合わせいただければと存じます。

弁経営者の連帯保証

中小企業の場合、金融機関からの借入についてはほぼ例外なく経営者ご自身が保証人になっておられます。また、リース債務についても保証しておられるのが通常ですから、会社の経営不振という事態に直面したとき、会社はもちろんですが、ご自身並びにご家族の将来を考え、進退窮まっておられる経営者の方も少なくありません。

民事再生は会社に限らず、個人でも可能です。
状況によりますが、会社が経営不振という現状にある以上経営責任は否めませんので、ここは一歩退いて経営者の皆様も民事再生の適用を受け、負債(保証)の処理を考えて良いかも知れません。

ただ、民事再生により会社の再生が成功すれば、経営者ご自身も引き続き再生会社の経営を続けることにより新しい人生を構築することが可能となります。

いずれにしても、状況如何によります。当事務所は、経営者ご自身の問題に対しても、あらゆる選択肢の中から具体的状況の下で最良の方法を助言いたします。八方ふさがりの状況を打開するためには、高度な専門知識に基礎を置いた適切かつ迅速な対応が必要となります。

民事再生の手続きの流れ

当事務所が民事再生を受任した場合、手形の決済期日あるいは大口債権の決済日を基準にその数日前をXデー(申立日)として準備にとりかかり、申立日からおおよそ5ヶ月後に開催予定の債権者集会が区切りとなります。

ご覧いただいたように、民事再生手続は複雑な手続が同時に進んでいきますので、5ヶ月間といいましても時間的余裕は思いのほかありません。会社は、この手続対応の他に通常の営業活動を遂行しなければなりませんので極めてハードワークになりますし、民事再生に精通した専門家の助力が不可欠と思われます。

当事務所における取り組みの特色

民事再生の申立直後は、これを知った債権者への的確な対応が後手に回りますと通常業務に混乱が生じかねません。
この点、当事務所は豊富な経験から一歩先を的確に予測し、適時、適切な対応を重ね、現場を収めていきます。

債権者としては民事再生の申し立てを知って不安に駆られ、中には混乱される方もおられますが、申立後6日以内に債権者説明会を開催し事情の説明を行うほか、債権者毎に的確に個別対応を重ねれば、当事務所の経験では申立後おおよそ2週間程度で債権者も落ちついて参ります。

このほか、どのように些細な問題であってもその都度適切にサポート致しますので、経営者の方や従業員の方は業務に専念いただけます。

当事務所は、民事再生に踏み切ることにより、見事に再生を果たされた会社並びに経営者の方を多数存じ上げております。
皆様、以前より強く逞しくなられ、再生後の会社においても敏腕をふるっておられます。逆境での経験が、その後の経営にプラス材料となっているのだと思われます。

私達は、そのような経営者の皆様のかけがえのない再生に是非お役に立ちたい。全力をもって、皆様のサポートを致します。

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