倒産件数が著しく減少しています。
報道もされていますからご存知の方も多いと思いますが、近年、企業倒産件数が1万件を割り込んでいます。
この1万件未満というのは、日本が約30年前バブル経済に沸いていた頃と同じ数字なのですが、現在は当時と同じくらい景気が良いのでしょうか?
バブル時、日本は米国からジャパン・アズ・ナンバーワンとも評価され、直ぐにでも米国を追い抜くのではないかと言われていました(結局、日本が追い抜くことはなく、米国との差が開く一方であったことはご案内とおりです)。余談ですが、当時私は勤務先の先輩に連れて行かれた銀座のクラブで、ある男性(いわゆるバブル紳士)が100万円の札束を取り出して空中にバラまき、女性が歓声を上げながら拾うという、現在からすれば何とも想像しがたい現場を目撃したことを覚えています。
現状と比べると隔世の感があり、私も一瞬日本にこのような時代があったのか、と錯覚しかねないのですが、確かにこうした時代がありました(ご記憶の方も少なくないと思います)。
こうした近年の少ない倒産件数は、常識的に考えると、倒産予備軍といえる経営不振の会社が少ない、つまり、多くの会社が安定的に利益を上げている、経営が安定している状況の現れと分析できるはずですが、どうでしょう、皆様はこうした分析にうなずくことができますでしょうか?
統計的に申し上げますと、日本では相変わらず赤字会社が多く、法人の7割以上が赤字である事実に大きな変化はありません。当弁護士事務所の経験から申し上げましても、安定的にしっかりと利益を上げている会社は本当に少ないですのですが、では、どうして倒産件数が少ないのかと言えば、答えは、「金融円滑化法の廃止後も現在まで続いている金融機関のリスケの効果」であろうと当弁護士事務所は分析しています。
当弁護士事務所にご相談においでになった経営者様、企業様から、しばしば「金融機関に返済しないで(借金の棚上げ)、今から「用意ドン」で事業を始めるのであれば上手くいきます」というお話を受けます。つまり、金融機関に借入元金を返済する資金はないが(金融機関に元金返済をすれば、資金がなくなり倒産する)、金融機関に元金返済を猶予してもらえれば、資金がギリギリ回転して存続できる、つまり、そうした低収益の会社が少なくないというのが状況だろうと考えています。
しかしながら、金融機関の返リスケ(返済猶予)は、一時的に資金繰りを楽にはしますが、借入元金は全く減っていません。つまり、リスケを100年間続けても(もちろん、リスケが100年も続くわけはありませんが)借金から逃れることができません。
負債問題をきちんと解決するには、借入元金にいかにアプローチ(減少させる)するか、これが最も重要となります。
リスケは、こうした抜本的対応策を立てるための時間確保の方策に過ぎません。
当サイトでは、弁護士事務所として民事再生をはじめ様々な会社再生・再建の手法を紹介していますが、負債を抱えられる皆様の少しでもお役に立つことができれば望外の幸せです。